リード獲得のコツやポイントとオンライン手法とオフライン手法コロナ禍をきっかけに従来の対面営業の機会が減り、十分なリード獲得をできなくなったと悩む企業は少なくありません。

新たなオンライン施策の導入や、オフライン施策のアップデートを検討している企業担当者も多いのではないでしょうか。

この記事ではリード獲得手法をオンラインとオフラインに分けて紹介し、併せてリード獲得につなげるポイント、コロナ禍以降の手法の変化も解説します。

そもそもリード獲得とは何か?

そもそもリード獲得とは何か?リード獲得とは、顧客になりそうな見込み客(リード:lead)の興味、関心を広告や対面アプローチなどによって引き、何らかの接点を得ることです。

マーケティング用語としては、リード獲得ではなく「リードジェネレーション」が使われるケースも少なくありません。

一例を挙げれば、特定のサイトにWeb広告を出稿した場合、広告をクリックした人を自社の資料請求フォームに誘導して、見込み客の連絡先を入手した時点でリードを獲得したことになります。

ただし、何をもってリード獲得とするかは、ビジネスモデルや扱う商品、サービスによって異なります。

例えば、企業向けビジネスの場合は、直接見込み客と会って名刺交換できた時点でリード獲得とみなすかもしれません。

あるいは商品認知から購入までがオンラインで完結するような商品を扱う一般消費者向けビジネスなら、自社サイトへのアクセス履歴を追跡できる状態になれば、リード獲得とするケースもあるでしょう。

いずれにしても共通しているのは、リード獲得が商談化や商品購入、契約のための起点になるプロセスだということです。

このために「きっかけ」や「手がかり」の意味を持った「リード」という言葉が使われています。

あらゆるビジネスは、まずリード獲得できないことには、次のアプローチに進めません。

リード獲得の重要性

リード獲得の重要性リード獲得が重要な理由は、リード獲得の成果がその後のマーケティング施策全体に影響を与えてしまうことと、マーケティングの効率を大きく左右することの2点です。

そのために、企業は多額の広告費を費やしてマスメディアに広告を出稿したり、専任の担当者をおいてSNSのアカウントを運営したりと、さまざまな手段でリードを得ようとするわけです。

なぜリード獲得の結果がマーケティング全体に影響を及ぼすのか理解するには、見込み客の数が商品認知から商品購入に至るまでに漏斗(じょうご)状に減っていく性質を知っておくのが役立ちます。

この見込み客が「認知→興味・関心→比較・検討→購入」と各フェーズを経るごとに減っていく現象は、マーケットファネルと名付けられています。

一般的に図で解説されていますので、知らなかった人は一度目を通しておくと、リード獲得の位置付けと重要性を捉えやすくなるでしょう。

リード獲得が不十分なら中間目標も最終目標も達成できない

リード獲得の数が足りていないなら、その時点で商談化数や契約率、売り上げなどの目標は、かなりの確率で達成できなくなってしまいます。

なぜなら、漏斗状のマーケットファネルの入り口の認知から興味・関心のフェーズに相当するのが、リード獲得できた見込み客であるからです。

リード獲得した見込み客が途中で増えることはありえず、その後の施策によって離脱率を大幅に低くしたり客単価を高めたりすることも難しいでしょう。

例えば、企業向けのビジネスにおいて、マーケティング部の広告戦略が失敗して集客数が不十分なら、いくら営業部が有能であっても中間目標や最終目標を達成するのは非常に困難です。

集客目標が達成できていなければ、その後の商談化率や契約数などの中間目標や、売り上げや新規顧客数などの最終目標が達成されることは、まずありません。

あったとしても、販売価格を下げたり営業部署の残業時間を増やしたりするなどシワ寄せがきて、利益が上がらなくなってしまうでしょう。

したがって、各フェーズの離脱率を加味したリード獲得目標の設定と達成は、とても重要になるわけです。

マーケティング効率を高められる

リード獲得数が多ければ、見込み度の高いリードを選別できるため、効率的なマーケティングが可能になります。

仮にWeb広告経由でカタログを請求してきたリードと、オフラインのセミナーに参加してくれたリードがいれば、一般的には、セミナー参加の人のほうがニーズが顕在化して購買意欲が高いと予想できます。

こうした見込み度の高いリードに重点的にアプローチすれば、成果も出しやすくなるはずです。

しかし、そもそもリード獲得数が少なければ、このような自由もありません。

見込みが小さいことが明らかでもアプローチしなければならないため、人件費や交通費などがかかってしまい、費用対効果が低くなってしまうでしょう。

リード獲得手法はオンラインとオフラインに分けられる

オンライン手法とオフライン手法企業が用いるリード獲得手法は、オンラインとオフラインに大きく分けられます。

それぞれ特徴がありますので、目的に応じて活用しましょう。

オンライン施策のメリット・デメリット

オンライン施策は、広告費が比較的安いことがメリットです。

自社ホームページを活用すれば無料で詳しく商品をPRできますし、成果報酬型のWeb広告を使えば1クリックあたり数円〜数十円しかかかりません。

また、地理的な距離や時間の制約を受けないため、リード獲得の対象を大きく広げられることも特徴です。

一方、対面接触でないため、深い信頼関係を築くことは難しく、たとえリード獲得できたとしても、その後の離脱率は大きくなりやすい点がデメリットです。

特にリード獲得から成約までのプロセスが長く複雑になる企業向けビジネスでは、多くの場合、オンライン施策だけでは完結できません。

オフライン施策のメリット・デメリット

一方、オフラインは見込み客と直接コミュニケーションを図ることにより、リード獲得の段階で信頼関係を築きやすいことがメリットです。

また、リードが抱えている課題や要望について、詳しくヒアリングもできるため、その後の営業活動をスムーズにできる面もあります。

その一方、オフライン施策は集客活動のための人件費や、パンフレットの準備やセミナー会場のレンタルなどの広告費が増大しやすい点がデメリットです。

また、海外展開するビジネスのように広範囲のリードにアプローチしたい場合にも向きません。

オンラインとオフラインを適切に使い分けよう

このようにオンライン施策とオフライン施策には一長一短があるため、自社のビジネスモデルや扱う商品に応じて、適切な手法を選ぶことが必要です。

また、状況に応じてオンラインとオフラインの施策を組み合わせることも大切です。

例えばオフラインのイベント開催を告知するために、顧客層が集まりそうなWebメディアへWeb広告を出稿するなどが考えられるでしょう。

コロナ禍による特殊な状況をきっかけとして、企業や消費者の行動、意識も変容してきました。

もし今までのリード獲得戦略で十分な成果が上がっていないなら、オンラインとオフラインのバランスを見直したり、新たな手法を取り入れたりしてみましょう。

次項から、具体的なオンライン施策とオフライン施策を紹介します。

リード獲得のためのオンライン手法

リード獲得のためのオンライン手法それではさっそく、リード獲得のための代表的なオンライン手法から紹介します。

それぞれ特徴やメリット、デメリットがありますので、マーケティングの目的や販売方式などに合わせて適切な手法を選びましょう。

コンテンツマーケティング・SEO

コンテンツマーケティングとは、自社サイトや動画配信サービスなどを使って、自社商品に関連した情報を発信する手法です。

広告と異なるのは、自社商品をダイレクトに宣伝するのではなく、顧客層に有益な情報を提供する施策を挟むことです。

例えばインテリアショップのWebサイト運営なら、自社のカタログを掲載するのではなく、

「和モダンインテリアのコツ」「新築で家具にかける費用の相場」といったユーザーニーズを満たしそうな記事を提供することにより、リード獲得を目指すことになるでしょう。

コンテンツの種類は記事のほかにも、写真やイラスト、漫画、動画など、さまざまなパターンが考えられます。

SEOは検索エンジンの検索結果上位に掲載するための対策で、ほとんどの場合、コンテンツマーケティングとセットで実施します。

一例を挙げれば、検索キーワードをリサーチしてニーズを推測し、その検索ユーザーの課題を解決するコンテンツを制作したり、検索エンジンに評価されやすいWebサイトの構成にしたりするなどです。

SEOの範囲は広く、専門的なノウハウも求められるため、本格的に取り組む場合は、スキルを持った専任の担当者の配置や、専門業者への依頼が必要になるでしょう。

コンテンツマーケティングおよびSEOによるリード獲得が向くのは、慢性的な広告費の増大に悩んでいる企業です。

自社が所有するメディア、つまりオウンドメディアとしての地位を確立できれば、情報を求めてリード自らが集まってくるからです。

もちろん広告費の代わりにコンテンツ制作費がかかりますが、長期的にみれば割安になる可能性が高いでしょう。

また、リードに嫌われない広告手法を採りたい企業にも、コンテンツマーケティングが向きます。

コンテンツマーケティングは有益なコンテンツにユーザーが満足した流れで自社商品の情報に触れることになるため、自社に関心や信頼感を持つ質の高いリードを獲得しやくなるでしょう。

Web広告

Web広告とはWeb上に掲載される広告のことです。

主な種類はWebサイトやアプリの特定の枠に表示するディスプレイ広告、検索エンジンの検索結果上部に表示するリスティング広告、動画内に挿入される動画広告などが挙げられます。

ほとんどの企業は、インターネット広告の運営サービスを利用して、出稿するWebサイトや、配信地域、ターゲットの年齢、性別などを設定して広告を配信することになるでしょう。

Web広告の種類はマーケティングの目的によって使い分けなければなりません。

例えば、一般消費者向けの商品を不特定多数にアピールしたい際は、アクセス数が多いサイトの広告枠を選んでディスプレイ広告を出稿します。

一方、特定のニーズを持つ見込み客を狙い撃ちにしたいなら、リスティング広告で「名古屋不用品回収即日」などの具体的なニーズが推測されるキーワードに広告を出稿するなどです。

Web広告が向くのは、広告費を抑えながら効率的にリード獲得を目指したい場合です。

運用型広告と呼ばれるタイプのWeb広告は、リアルタイムで成果分析をしながら、その都度、予算を設定したり出稿先や広告内容を変更したりできます。

またターゲットを絞りたい際もWeb広告は適しています。

Web広告では広告運用の管理画面にて、ターゲットの年齢、住んでいる地域、広告配信時間帯などを指定できますから、自社商品に関心を持ちそうな人に絞って広告を届けられるでしょう。

加えてWeb広告はオフラインの広告と違ってアプローチ範囲の制限もないため、例えばグローバルビジネスのように、幅広い見込み客に接触してリード獲得したい場合にも向きます。

ECショップのようにオンライン上で完結するビジネスなら、リード獲得から商品購入までスムーズに結び付けることも可能です。

Webメディア掲載

他社が運営しているWebメディアに記事や広告を掲載してもらうリード獲得手法です。

この手法ではメディアの記事と区別が付かない形で掲載されることが多く、
「タイアップ記事」「タイアップコンテンツ」としてWeb広告の一種に分類されることもあります。

例えば、読者に有益な最新情報やノウハウなどを解説した後、自然な流れで自社商品の紹介につなげます。

また、経営者や開発担当者などがWebメディアからインタビューを受ける形で、商品の強みやコンセプトを伝える方法も一般的です。

Webメディア掲載によるリード獲得のメリットは、知名度や信頼性が高い既存メディアを選んで出稿して一定の閲覧ユーザー数を確保できることです。

また、情報発信以外にも、メディア掲載自体によってブランド価値を高める効果も見込めます。

ただし、ユーザーが自社のターゲット層とマッチしていなければ意味がありません。

そのため、アクセス数が多い人気メディアよりも専門的な、あるいはコアなファン向けの傾向があるメディアを選んで、質の高いリード獲得を目指したほうがよいケースもあります。

Webメディア掲載が向くのは、広告費にある程度余裕があり、中・長期的な効果を期待する場合です。

当然ながら他社メディアに出稿するためには掲載費がかかり、媒体や掲載期間にもよりますが数百万円が相場で、人気サイトの場合は1000万円程度になることも少なくありません。

また、Webメディア掲載の記事に集まるリードは、自社や商品名に特別な関心を持っておらず、そのカテゴリーの情報収集をはじめた企業担当者のケースが大半です。

したがって、すぐに成果を出すというよりは、資料ダウンロードやアンケート回答などハードルが低いアプローチでリード獲得して、次の施策につなげる手法がよく取られます。

SNS・メッセージアプリ

SNSやメッセージアプリに自社アカウントを開き、新商品発売やキャンペーン開催などの情報を発信する方法です。

このリード獲得手法は情報伝達のスピードが速いことが特徴で、それゆえタイムリーでフレッシュな情報としての価値を出しやすいことがメリットです。

さらに、ユーザー同士の情報シェアによって拡散効果が起これば、予想以上のリード獲得効果を期待できます。

特に発信力が高く、仲間同士のネットワークも強い若年層を対象にしたビジネスでは、SNSやメッセージアプリによるリード獲得戦略が欠かせません。

アカウント運用の負担を抑えたい場合は、SNSやメッセージアプリの広告枠への出稿も検討しましょう。

これらの広告はユーザーの隙間時間に見られるため、広告文を短くして直感的に注意を引くようなアピール方法が採られるのが特徴です。

一部のサービスでは、広告をクリックした際に移行する問い合わせフォームを、同一サービス内に設置できます。

この機能を利用することで、外部サイトに遷移したときの個人情報の入力の手間や、心理的な警戒心を持たれることによるリード獲得率の低下を防止できるわけです。

SNS・メッセージアプリを使ったリード獲得手法は、一般消費者向けのビジネスで、特にターゲットが若年層の場合に適しています。

ただし、それぞれのサービスでユーザー層の偏りがあるため、媒体選びから検討したほうがよいでしょう。

メルマガ(メールマガジン)

メルマガとは、発行者が自社の製品情報やお役立ちのコンテンツを受け取りたいと登録した読者に対して、定期的または不定期にメールを送る手法です。

メルマガには既存顧客に対する定期配信や、商品購入に対するサンクスメールなどさまざまなタイプがありますが、リード獲得で主に用いられるのはステップアップメールです。

ステップアップメールには、一斉送信のメルマガと異なり、顧客の状態に応じてメルマガの内容が変わる特徴があります。

例えば、不動産投資の基礎知識を解説するメルマガなら、全30回ほどのコンテンツを事前に用意しておき、メルマガが登録されると第1回から順に毎週送信するなどします。

そして、各メールのなかでユーザーに不快感を持たれない範囲で自社の商品を紹介して、自社サイトや申し込みフォームなどに誘導するわけです。

メルマガの活用が特に向くのは、ターゲット層に提供できる有益な知識や情報を持っている企業です。

ターゲット層のニーズを満たすことで自社への信頼感、好感を得られ、リード獲得につなげやすいからです。

一例を挙げれば、不動産投資会社や経営コンサル会社、英会話スクールなどのビジネスでは、メルマガを有効に使えるでしょう。

また、メルマガは運用コストが安いのも特徴ですので、不特定多数をターゲットにする場合にも向いています。

メルマガの登録管理やステップアップメール自動配信などの機能を持ったマーケティングツールを導入すれば、登録者が増えても運営業務の負担は大きくなりません。

ウェビナー・オンラインカンファレンス

ウェビナーとは「Web」と「セミナー」を合わせた造語で、オンラインでセミナーやイベントを開催することです。

特に規模が大きなイベントの場合は、オンラインカンファレンスと呼ばれることもあります。

ウェビナーが普及したのはIT技術の進歩もありますが、コロナ禍が大きく影響しています。

感染症対策の観点から、密や対面接触の施策を避けてウェビナーに移行する企業が急増しました。

とはいえ、ウェビナーは遠隔地の人でも参加しやすく、企業側と参加者側の双方にコスト面のメリットもあることから、おそらく今後も普及が進んでいくでしょう。

ウェビナーによるリード獲得手法では、主にストック型のタイプと、リアルタイム型のタイプに分かれます。

ストック型は視聴者に有益な情報を動画配信プラットホームにアップして、いつでもアクセスできるように公開するのが一般的です。

一方、リアルタイム型はオフラインと同じようにセミナーやイベントを生配信する方式です。

この際、Web会議ツールを用いて参加者と双方向のコミュニケーションを図る手法もよく採られ、場合によってはウェビナー後に個別相談、商談に移るケースもあります。

ウェビナーによるリード獲得が向くのは、すでに認知度拡大の施策が完了しているケースです。

オンラインで手軽とはいえ、ウェビナーに参加するのは、すでに自社商品を知っていて、なおかつ関心を持っている場合が多いからです。

とはいっても、このフェーズの見込み客は、競合他社への関心も持っているため、リード獲得のためのウェビナーでは、中立的な立場で有益な情報を発信して信頼関係を築く入り口にするスタイルが好まれます。

ただ、オフラインと違い、ウェビナー直後のタイミングで臨機応変に営業員がフォローできないのがデメリットです。

したがって、ウェビナーを開催する際には、参加者にメールやダイレクトメール、営業からの電話など、次のアプローチもセットで計画しておくとよいでしょう。

チャットボット

チャットボットとは、ユーザーがテキストや音声を会話形式で入力するとプログラムが自動応答するツールです。

あらかじめ応答シナリオを登録しておくものやAIを搭載したもの、有人チャットにつなげるものなど、さまざまなツールが提供されています。

具体的には「返品はできますか?」「カタログが欲しい」などと見込み客が質問を入力すると、自動的に回答を返したり、詳しい情報が掲載されているFAQページを紹介したりするなどして、ユーザーニーズを満たします。

チャットボットのメリットは、気軽に相談しやすくしてリード獲得数を増やしやすいことです。

電話や問い合わせメールなどは心理的なハードルがありますが、チャットボットなら遠慮なく利用できます。

また、営業時間にかかわらずいつでも自動応答できるため、見込み客の関心が高まったタイミングも逃しません。

リード獲得のために顧客対応を強化したいけれど人的リソースが足りない企業や、24時間365日、問い合わせ窓口を開きたい企業などにチャットボットは向いています。

オンライン接客

オンライン接客とは、Web会議ツールによるビデオ通話機能を利用して、疑似的に対面接客することです。

例えば不動産会社の多くは、リアルタイムにコミュニケーションを取りながら、パソコン画面を共有して物件を紹介しています。

また、洋服や家具などを扱うECショップでは、細部を確認したい顧客に対してカメラでズームアップした動画を配信したり、手で触ってみせて質感を伝えたりするなどのコミュニケーションをとっています。

他にもコスメや家電、クリニックなど、幅広い業界がオンライン接客を導入していますので、自社でも有効活用できないか検討してみるとよいでしょう。

オンライン接客が丁寧さや親身さに欠けた対応と考える人もいるかもしれません。

業界の慣習上、抵抗があるケースもあるでしょう。

しかし、すでにハイブランドや、高級路線のハウスメーカーなどでも導入が進んでいることからわかるように、オンライン接客への抵抗感は少なくなっています。

消費者にとっては来店の手間や時間を省けるメリットがあることから、今後も普及していくでしょう。

リード獲得のためのオフライン手法

リード獲得のためのオフライン手法オンライン施策の重要性が増していることは確かですが、オフライン手法も依然として有効です。

ただし、表面的には古典的な施策であっても、オンライン施策を組み合わせたりITツールを使って個別にアプローチしたりと、戦略がバージョンアップしています。

この点も踏まえながら、リード獲得に用いられるオフライン手法を紹介します。

飛び込み営業

飛び込み営業とは、事前の約束なく企業や個人宅を訪問してリード獲得を目指す方法です。

最も直接的なリード獲得手法として古くから多くの企業が採用しており、特に住宅関連や企業向けの高額設備などのリード獲得では、飛び込み営業は効果的な方法とされています。

ただ、現在は飛び込み営業を嫌う企業や個人も増えました。さらに見込み客自らがオンラインで情報検索するようになったことやコロナ禍の影響もあり、飛び込み営業を縮小、廃止した企業も少なくありません。

飛び込み営業でリード獲得をしやすいのは、一般的には情報収集を苦手とする見込み客がメインターゲットの場合や、飛び込み営業によって潜在ニーズを明らかにしやすいビジネスです。

例えば、住宅リフォーム事業では、屋根や外壁の劣化などを見極めたうえで飛び込み営業をかけてリードを獲得している企業があります。

ただ、個人宅への訪問では、ほとんどの場合に不快感、警戒感を持たれるため、営業員のスキルと常識が問われることになるでしょう。

企業向けビジネスで飛び込み営業が向いているのは、業界が狭く顧客が限定される場合です。飛び込み営業であっても企業名くらいは認知していることが多く、知らなかったとしても話が通じやすいことから、比較的リードを獲得しやすい傾向があるからです。

このためルート営業の一部に飛び込み営業を組み合わせている企業は少なくありません。

特に中小企業向けのビジネスでは、飛び込み営業の段階で責任者、経営層に会えることも多く、リード獲得後の成約につなげやすい面があります。

テレアポ

電話営業してアポイントを取るテレアポは、さまざまなオンライン施策が利用できるようになった後も、代表的なリード獲得手法として残っています。

相手の声を聞いて関心の高さを推測して営業のトーンを変えたり、要望をヒアリングするなかで臨機応変に紹介する自社商品を選んだりするなど、テレアポならではのメリットもあります。

その反面、テレアポは人的リソースを確保しなければならないのがデメリットです。

労働者不足に悩む企業は多く、テレアポ業務をアウトソーシングしてコストを下げたり、人員不足を補ったりするケースが増えています。

セミナー・展示会

セミナーや展示会は直接、見込み客とコミュニケーションを取りながらリード獲得につなげられる方法です。

名刺交換やアンケート用紙、対面でのヒアリングなど、リード獲得の手段もさまざまにあります。

また、セミナーや展示会への参加者は関心度が高く、質の高いリードを獲得しやすいのもメリットです。

相談ブースでの応対やセミナー後の営業のフォローなどによって、リード獲得からスムーズに信頼関係を築くフェーズに移行しやすいでしょう。

間接的なメリットとしては、合同の展示会で自社のプロモーションへの反応を比較できること、競合他社のリード獲得方法を研究できること、などが挙げられます。

ただし、セミナーや展示会をオンライン化する動きも強まっています。

オンラインとオフラインの施策を適切に組み合わせれば、機会損失を減らしつつ、効率的なリード獲得をできるようになるでしょう。

実機のデモ運転や、素材の手触りを直接確かめてもらいたい場合などに限って、オフラインを用いる企業も増えてきました。

屋外広告

看板広告や電車の中吊り、タクシー広告などでリード獲得を目指すのは、古くからある手法です。

不特定多数の人が目にするため、認知度向上やブランディングをしながらリード獲得につなげられます。

特に店舗経営の場合は、リード獲得から来店につなげられる、即効性の高い方法として活用できるでしょう。

屋外広告は一般消費者向けのビジネスが一般的で、精度の高いターゲティングはできません。

ただ、特定の駅や施設に広告を出せば広告を見る人を限定できるため、教育ビジネスや飲食店経営など商圏の限られる分野では、費用対効果を高める方法として活用できるでしょう。

また、例えばタクシー広告は、企業内で役職を担っているビジネスパーソンが見る機会が多いことから、企業向けのリード獲得手法として活用されています。

DM・カタログ送付など

郵便物でパンフレットやカタログなどを届ける方法です。

手に取って情報に触れることで電子メールやWeb広告にはない訴求力が出る場合があります。

より効果を高めたい場合は、サンプル品を添付して郵送することや、試供品を別途届ける手法を用いることも検討できるでしょう。

ただし、これらの手法を用いるには、個人宛やオフィス宛に送るための名前と住所を獲得していなければなりません。

このため現実的には、メルマガやウェビナー、セミナーなどと組み合わせて用いる手法になるでしょう。

他のリード獲得戦略の延長上でDMやカタログ送付を用いる際に重要になるのが、見込み客が求める情報と一致させられるかどうかです。

具体的にはアンケートやヒアリング結果などを元に、関心が高い商品に絞ったカタログを届けたり、悩みや課題にマッチした広告パターンのDMを送ったりするなどの工夫が大切です。

しかし、こうした作業は業務負担が多いため、必要に応じて、顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)などのITツールを用いた自動化も検討したほうがよいでしょう。

リード獲得につなげるための5つのポイント

リード獲得につなげるための5つのポイント同じ手法を採っていても、成果の上がる企業とそうでない企業に分かれるのはなぜなのでしょうか。

ここでは施策を実行する前に、もう一度チェックしておきたい5つのポイントを解説します。

リード獲得の軸を明確にする

リード獲得の際は、新規顧客数や商談化率などの短期的な目標も大事ですが、3年後や10年後を見据えた中・長期的な方針も立てておかなければなりません。

リード獲得の手法はさまざまありますが、いずれも企業が提供する価値を外部に発信し、ブランドイメージを伝えることに変わりはないからです。

もし施策ごとに統一性がなければ、信頼感がなくなりますし、訴える内容にブレがあることからブランドイメージも確立できないでしょう。

小手先のリード獲得では、たとえ成果が上がったとしても長続きせず、ノウハウも蓄積できないために、広告の費用対効果も低くなってしまいます。

したがって、リード獲得は企業全体で方向性を決めるべきです。

仮に「住宅の長期保証をアピールして顧客を獲得する」と企業の方針を決めたなら、マーケティング部の広告運用にも営業部の接客方針にも、技術部の開発にも統一性が出るはずです。

それによってリード獲得だけでなく、その後の成果にもつながりやすくなるでしょう。

マーケティング全体に影響を及ぼすプロセスとして、リード獲得を検討することが重要です。

ターゲットに適した広告媒体を選ぶ

リード獲得においては、釣りと同じようにターゲットがたくさんいる場所に糸を垂らすことが大事です。

仮に10~20代の若年層向けの商材なら、スマートフォンでの接触を重視してSNSや動画配信サービスなどの広告媒体を選ぶことが一般的です。

一方、企業向けのビジネスなら、多くの選定担当者は職場のパソコンで情報収集しているため、自社サイトのコンテンツを充実させたり、業界の人が集まるメディアでセミナー開催を宣伝したりするなどの戦略が有効になるでしょう。

なお、SNSやメッセージアプリ、Web広告の場合、ターゲット設定によって、表示対象の絞り込みもできます。

リード獲得の効率を上げるためには、広告の表示機会を増やすことだけ考えるのではなく、クリックや問い合わせの連絡など、望ましい反応が返ってくる可能性が高い広告運用も検討しましょう。

ターゲットのフェーズに合わせてコンテンツを制作する

リード獲得のための広告を出す際は、どの程度自社商品に関心を持っているかを検討します。

おおまかには、商品購入に至るまでの「認知→興味・関心→比較検討」のフレームワークを活用して、施策を切り分けるとよいでしょう。

例えば、Web広告のリスティング広告において、企業名や商品名で検索してくる見込み客は、すでに自社商品を認知しておりニーズが顕在化していることが予想されます。

このため商品購入や見積もり請求など、具体的なアクションを喚起するような広告のほうが、訴求力を出せるでしょう。

一方、いろいろなフェーズの見込み客が閲覧するWebメディア掲載では、中立的に有益な情報を伝え、強く自社商品をアピールしないのがセオリーです。

いずれにしても、ペルソナを設定して顧客目線でコンテンツを制作すると成果を上げやすくなります。

リード獲得後の施策にスムーズにつながるか検討する

リード獲得後の引き継ぎ方や、次の施策についても併せて検討しておきましょう。

リード獲得は商品購入や契約など、最終的な成果に至る最初のステップに過ぎません。

リード獲得したまま放置していればリードは離脱してしまうため、2の矢、3の矢と適切なタイミングでアプローチを続けて初めて成果が出るわけです。

例えば、マーケティング部がリード獲得を担当したなら、どの手法でリードを獲得したのか、アンケートの回答結果からどのようなニーズが推測されるのか、などをまとめたうえで営業部に引き継いで次の施策の参考にしてもらいます。

また、見込み度をマーケティングツールで数値化するスコアリングという方法によって、優先順位の高いリードを抽出して、効率的な営業活動を支援するのも一般的です。

いずれにしても、リード獲得後の施策にスムーズにつなげられるか検討しておきましょう。

効果検証して改善を図る

リード獲得の施策を実施したら、ある程度サンプル数が集まるたびに効果検証を行い、問題があれば改善を図りましょう。

この点で効率的なのはオンライン施策です。例えばWeb広告やWebメディア掲載、SNSなどでは、広告やコンテンツ単位ごとのクリック数、問い合わせ数などを追跡して集計、分析できます。

また、広告パターンを複数同時配信して、成果を比較するようなことも容易です。

こうした客観的な指標による分析は、経験や勘による主観的な判断を避けるのに有効です。

手法によっては定量的なデータ取得が難しいでしょうが、なるべく数値で分析する方法を用いましょう。

もうひとつ重要なことは、リード獲得のプロセスだけで効果検証しないことです。仮にリード獲得数が目標に達したとしても、最終目標を達成できていないなら、目標設定が間違っている可能性があるからです。

リード獲得のみで評価すると、マーケティング全体を考慮した適切な判断ができなくなったり、営業部署に過度な負担がかかったりするリスクがあるので注意しましょう。

リード獲得後に行うべきこと

リードジェネレーション、つまりリード獲得と一緒に使われることの多いのが、「リードナーチャリング(見込み客育成)」と「リードクオリフィケーション(見込み客選別)」という2つの用語です。

これらはリード獲得後に実施するプロセスですので、併せて理解しておかなければなりません。

先に全体像を示しておきますと、基本のフレームワークでは、マーケティング領域、つまりマーケティング部門の業務は「リードジェネレーション→リードナーチャリング→リードクオリフィケーション」という3つのプロセスで構成されます。

これらが完了した後に、セールス領域、つまり営業部門に引き継がれるわけです。

それでは、それぞれの用語の意味、具体的な活動内容を解説します。

見込み客を育成する「リードナーチャリング」

リードナーチャリングとは見込み客育成とも呼ばれ、リードジェネレーションの後にDMを送付したり、問い合わせに応対したり、メルマガ登録を勧めたりして見込み度を高めるプロセスです。

もともとリードナーチャリングは営業部門が担当することが一般的でしたが、オンライン施策が増えた結果、マーケティング領域に分類されるケースが多くなりました。

例えばWeb広告経由で資料請求があった際に、自動で資料をメール送付するなどは当たり前になっています。

このあたりはマーケティング手法や自社の業務体制に応じて、柔軟に役割分担を決めるとよいでしょう。

実は先にリード獲得の手法として紹介したなかにも、リードナーチャリングのプロセスを含んでいるものがあります。

例えばメルマガのステップメールや、個人情報取得後に送付されるDMなどです。

こうしたリード獲得後に継ぎ目なくリードナーチャリングに移行できる手法もありますので、効果的に使えば、成果を出すまでの手間や時間、コストを節約できるでしょう。

見込み客を選別する「リードクオリフィケーション」

リードクオリフィケーションとは見込み客選別とも呼ばれ、リードナーチャリングの後に自社商品の購入への見込み度を数値化するスコアリングという作業を通じて、リードを選別するプロセスです。

方法はさまざまですが、例えば電子メール開封の有無や、アンケートの回答結果、セミナーの参加などを点数にして見込み度を判定します。

これによって営業部員が優先的にアプローチするべき顧客リストを作成するわけです。

リードクオリフィケーションは商談化率や成約率を大きく向上できる重要なプロセスで、もしこの分析の質が悪ければ、いくらリード獲得数が多くても、その後のマーケティングが非効率になってしまうでしょう。

リードクオリフィケーションはリード数が少ないなら手作業でもできますが、ある程度の規模になるとマーケティングツールを活用したほうが効率的です。

顧客管理システム(CRM)などの機能を使って、見込み度の高いホットリードを半自動的に抽出する企業も増えてきました。

コロナ禍でリード獲得戦略はどう変わったのか?

コロナ禍でリード獲得戦略はどう変わったのか?コロナ禍をきっかけに、コンテンツマーケティングやウェビナーなどのオンライン施策を導入した企業は多いのではないでしょうか。

対面接触の機会が失われた結果、リード獲得数の減少に悩む企業は少なくありません。

ここではコロナ禍によってリード獲得戦略はどう変わったのか、状況を打開するために各企業はどのような取り組みを行ったのか、などを紹介します。

多くの企業がリード獲得数を減らしている

多くの企業はコロナ禍をきっかけにリード獲得数が減ってしまったと回答しています。

その大きな要因は、対面接触の機会が少なくなり成果が上がらなくなったことです。

テレワークの普及や感染症対策により、オフィスに訪問するのは実質的に不可能になりました。

また、オフラインのイベントやセミナーは軒並み中止となり、コロナ禍前に実施していた営業活動ができなくなったことも大きな打撃となりました。

特に購入に至るまでのプロセスが長く、対面での信頼関係の構築が重要な企業向けビジネスでは、機会損失が大きかったことでしょう。

また、飲食業をはじめとした実店舗をメインとする事業でも、一般消費者が外を出歩かないようになったことから、リードを獲得できるチャンスが大幅に減りました。

オンライン施策の重要度が増している

リード獲得数の減少を受けて、多くの企業はオンライン施策の強化に取り組み始めました。

具体的にはオフラインのセミナー、展示会に代わって、ウェビナーやオンラインカンファレンスの割合を増やしました。

オンラインでのコンタクトが多くなることを見越して、コンテンツマーケティングやWeb広告などに多くの広告費を割く企業も多くなっています。

しかし、オンライン施策の導入にあたっては、単にオフラインの内容を移し替えるだけでは済まないこともあります。

例えば、従来のイベントでは、自社のアピールしたい強みの概略を宣伝して、細かい内容は対面営業でフォローするスタイルがよく採られました。

しかし、対面営業が少なくなった結果、次に接触できる機会があるとは限らないため、セミナーで実用的な内容まで詳しく紹介するケースが増えてきています。

つまり、リード獲得の施策やコンテンツに、ニーズを顕在化、具体化させる力が求められるようになりました。

言い換えれば、リードジェネレーションとリードナーチャリングの融合した施策が必要になったわけです。

具体的にはウェビナーでも双方向性を確保して質疑応答に応じたり、自社サイトにチャットによる問い合わせ窓口を設けたりするなど、リード獲得後の施策にスムーズに接続できる対策が考えられるでしょう。

手に取れる紙媒体の活用も効果的

DMやカタログ送付などのオフライン手法をあえて増やす企業もあります。

その理由はコロナ禍をきっかけにオンライン施策でのリード獲得の競争が激化するなか、差別化を図るためです。

自社サイトやメルマガなどのデジタル媒体で自社商品を紹介するより、手に取って閲覧できる紙媒体のほうが、記憶に残りやすい面があります。

例えば、高級な紙の質感でブランドイメージを直感的に伝えられますし、封筒全体をコーポレートカラーにすればインパクトを残せるでしょう。

ただし、紙媒体を用いる場合もIT技術を用いることがポイントです。現在の印刷技術では、顧客名や文面を刷り分けるオンデマンド印刷が比較的リーズナブルな費用で利用できるようになりました。

このため、紙媒体でも顧客管理システムと連携させた個別化したアプローチができ、リード獲得の可能性をより高められるようになっています。

オンラインとオフラインのリード獲得手法を組み合わせよう

IT技術の進化によってリード獲得の手法は増え、さまざまな広告媒体も選べるようになりました。

また、オフライン施策でもマーケティングツールを活用して精度の高いアプローチを工夫できるようになっています。

コロナ禍をきっかけにリード獲得方法は急激に変わってきているため、競合他社の動向も見極めながら、適切な営業活動をしていきましょう。