2018年4月1日から、
事業承継時の贈与税及び
事業承継時の相続税についての
税制(事業承継税制)が
大幅に改正されました。

2027年12月31日までに
贈与・相続により
後継者が自社の株式を取得する際、
事業承継に係る金銭負担を

実質的にゼロとする。
という衝撃的な内容です。

事業承継税制改正の概要

特例税制の骨子

従来の税制では上限があった
納税猶予対象の株式の上限撤廃により
納税猶予割合が100%に拡大
となりました。

2023年3月31日までに計画書等の
提出が必須なのでその点は注意です。

株式譲渡者と譲受者の緩和

一人の先代経営者から
一人の親族後継者への
贈与・相続のみが対象でしたが、

親族外を含む複数の株主から、
代表者である後継者を含む
最大三名への承継まで対象に拡張されました。

ただし、親族外で本税制を活用する場合、
親族側の税金が高くなるという落とし穴?
もありますので注意が必要です。

中小企業庁のデータからも、
20年以上前には
親族内承継が85%、
親族外承継が15%でしたが、

2015年では
親族内承継が35%、
親族外承継が65%と、
従来の税制が明らかに
親族内承継だけでは成り立たないことが伺えます。

また、

経営環境の多様化により、
一人ですべての経営を担うことが
事実上成り立たないケースが
多くある点からも、

複数名が
承継対象となった点についても
時代にあった内容だといえます。

(遅いくらいかもしれませんが・・・)

税制適用後のリスク軽減

事業承継時の株価に基づいた納税額の
算定に関する改正

従来、
「承継時の株価を基に贈与・相続税が課税される」

という仕組みであったため、
承継後の株価の下落があった場合、

承継時点の株価に対し課税されると
過大な税負担が
生じる懸念がありましたが、

改正後は売却額
(廃業時は廃業時の株評価)を基に
納税額を再計算する仕組み
となったため、

承継時の株価を基に
計算された納税額との差額が減免になるため、

株価変動に対するリスクが軽減されました。

雇用要件に関する改正
従来の税制適用後5年間で
平均80%の雇用維持が条件であり、

それを下回ると
納税猶予が継続できず、
承継時に算出した納税額を
納めなければなりませんでしたが、

改正後は
平均80%の雇用要件未達成の場合でも

一定の要件を満たせば継続が
可能となり、実質的には要件
撤廃となったといえます。

この点においても、企業にとって
大きなリスクが軽減されたといえます。

事業承継税制を活用するリスク

一方で、
事業承継税制を選択するリスクも
まとめておきます。

税制利用を途中で止める

株式の贈与した後、
途中で報告書などを提出しないなど
税制継続を止めた場合、

「猶予額」+「利子税」
(贈与時から事業税制中断までの期間)を
支払わなくてはなりません。

遺留分の主張による親族争い

後継者に株式を集中させようとしても、
遺留分を他の相続人の相続財産が
遺留分よりも少ない場合、

各々の遺留分に相当する財産を
主張してくる可能性があります。

近年の日本人の権利意識は強く、

時代背景からもそのあたりに
十分留意する必要があります。

後継者の更に次世代への承継

事業承継税制を活用し
後継者に株を贈与
または相続できたとしても、

会社が存続する以上、
後継者が更に次世代に承継する場合、

事業承継税制が使えるかどうかは
その時の法律によりますので、

株価が上がり続ければ
納税が永遠にこの税制によって
解決できるわけではありません。

手続きの継続的負担

事業承継税制の申告後
5年間は毎年知事・税務署への
届け出が必要です。

また、
5年経過後も3年に一度
税務署への継続届出書を
継続的に届ける必要があります。

以上が事業承継税制の考察となります。

参考にしていただければ幸いです。

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平井 康之

平井 康之

エクネス株式会社 代表取締役。国立金沢大学 教育学部 数学科 卒業。金融機関入社、3年程個人、法人営業を経験。その後ソフト開発企業にて8年半WEBサイト制作及びWEBシステム開発部門のグループリーダーを経験。2018年3月 法人設立 現在に至る。登山を愛する元テニス部キャプテン。好きな山は、石川県の白山、富山県の立山、岐阜県の乗鞍岳など。